ゾーン

マティアス・エナール『ゾーン』。

フランスの若い作家の作品です。
途中にピリオドがないノンストップ系。
その意味では、エヴァン・ダーラの『失われたスクラップブック』みたい。
スパイの男が秘密情報を詰め込んだ鞄を持って列車で移動するのがノンストップで描写されます。
20-21世紀のさまざまな戦争や残虐行為に関する回想や描写がいい。

10分ほどの英語レビューもあります。


いつか翻訳されるとうれしいなあ。
長いのがネックになるか(段落の区切りもないので活字はぎっしり、でも、センテンスの途中で区切られて章区切りはあります)……。

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人類学

ダン・ローズ『人類学』は制約系。

サドンフィクションかショートショートみたいな超短編集です。

山崎まどかさんによる日本語の書評もあります。

山崎さんは触れていません(お気付きではないのかも?)が、収録されている101編はすべて、単に短いのではなく、101単語から成っています! だから制約系。

それぞれに楽しい短編なので、翻訳されてほしい。
101文字で翻訳するのは無理でしょうけど、翻訳の際も何かの制約があった方が面白いかも。
この作家の他の作品はいくつか翻訳されています。





オフィーリアの言葉

ポール・グリフィスの『話を聞いて』。


何の変哲もない140ページほどの小説に見えます。
シェイクスピア『ハムレット』に登場するオフィーリアの、芝居前を描いた作品。
作品の中では、劇中でオフィーリアが使っている単語だけしか使われていません。
語彙制約系の実験ですね。

グリフィスさんは音楽批評家、小説家、リブレット作家といういくつもの顔を持っていて、
この作品は音楽にも仕立てられています。


こちらのメーキング映像はすごく長いです。


こういうタイプの作品も面白いのでいくつか探したいですね。

ネガティブランド

ダグ・ヌーファー『ネガティブランド』は、否定語を含む文だけで綴られた制約系の小説。


オリンピックのメダリストが、恋人と一緒に過去の栄光を再訪する旅に出る。

この作家の制約系の小説としては、『ネバー・アゲイン』もよく知られているようです。
同じ単語を「決して二回は使わない」小説。
すごい。

ここでPDFで読めます。

『ネガティブランド』は話として面白いですが、『ネバー・アゲイン』は話が面白いとは言えないかも。
アイデアはすごいのですが、最初の一文が
When the racetrack closed forever I had to get a job.
なので、when, I, a, the, had がもう既に次の文から使えないというのはしんどすぎる。

繰り返しますが、アイデアはすごい。


やし酒飲み

エイモス・チュッツオーラ『やし酒飲み』。

「わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった」――。やし酒を飲むことしか能のない男が、死んだ自分専属のやし酒造りの名人を呼び戻すため「死者の町」へと旅に出る。その途上で出会う、頭ガイ骨だけの紳士、指から生まれた赤ん坊、不帰(かえらじ)の天の町……。神話的想像力が豊かに息づく、アフリカ文学の最高峰。1952年刊。

紹介を読むだけで、少しへんてこな話だと分かります。
「実験的」と評すべきかどうかは微妙ですが、風変わりで、楽しいことは間違いないです。
あまり似たタイプの作家がいないような気もします。